講師紹介・挨拶

遠藤誠明 Endo Tomoaki

日本画家

絵画教室「アトリエまめの木」代表

1981年、 愛知県生まれ

2007年、 金沢美術工芸大学大学院、絵画専攻日本画を修了。金沢で画家としての活動を開始し、個展やグループ展、コミッションワークなどで作品を発表。アルトラアートスクールの水彩画教室で講師として勤務。また、小学校の少人数学級、特別支援クラスで講師としても3年間勤務。

2010年、 埼玉に拠点を移し、さいたま市の中学校で美術の講師として12年間勤務。

2022年、 絵画教室「アトリエまめの木」を開室。

作品はこちらから Tomoaki Endo Web

教室に寄せて

 私はこの教室が、美術が好きな人達の集まる場、赤ん坊から大人まで幅広い世代が美術を通して出会い、同じ時間、同じ事柄を共有出来る、楽しむ中でその喜びを共有できる、学校や社会以外での自分達の憩いの場。そのような空間になればと願っています。

 私は卒業後、十五年間作家として作品を制作し、美術と向き合ってきました。その中で、答えのない問いと向き合い、逆境を跳ね除ける力を試され、自分を信じ続ける事の難しさと大切さを実感し、対象から学ぶ喜びを知り、そして世界が広がる幸せを感じて来ました。私はそのような数々の経験から、美術の力を強く信じています。

 そんな私ですが、東日本大震災の際には、このまま自分の好きな作品だけを制作していて良いのだろうか?作品で社会にうったえなければ!そんな作品を作らなければいけないのでは!と考える事がありました。今ではそのようには思いませんが、では、美術に関わってきた者として、この社会に対して、美術を通して何か出来る事はないのだろうか?私を育ててくれた美術と社会への恩返し、その一つの答えがこの教室なのだと考えました。

 何かと直ぐに成果を求められる現代、無駄な事はしない、失敗したら損だ、人と同じじゃないと恥ずかしい。そのような考えに息苦しさを感じている人はいませんか?美術にはそれらを吹き飛ばすパワーがあります。美術の豊かさを伝える事で社会と関わり、その事でもし一人でも美術の力が助けになるのであれば、社会と美術への恩返しになると思うのです。

 私は作家として制作活動を続けながら、同時に15年間講師として小、中学校で教育に関わって来ました。その中で正直少しもどかしい思いもありました。よく「美術って何の役に立つの?受験と関係ないし、私は絵の才能ないから、アートって難しそう、上手く描けないから恥ずかしい、などなど。」とても残念に思います。本当であれば美術は他人と比べる必要のない、人と違って良いものなのに、もっと楽しいものなのに、そんなもどかしさを感じてきました。学校の枠の中では出来なかった事を、ゆっくりと時間をかけて、一人一人と向き合う中で、純粋にその子の良さを見つけてあげる、その子の良さを認めてあげる、その子の良さを伸ばしてあげる。そのような場にしたいのです。

 また父として、この社会で子育てをする中で、育児の大変さを私なりに、男性側からではありますが感じて来ました。美術館に行くのも気を使う、電車に乗るのも大変だ、気軽に外食も出来ない、自分の事など後回し、私でさえ大変なのに・・・。育児をしているお母さん達は一体どれだけ大変なのか。そんな子育て中のママ、パパが少しでもくつろげる、育児の合間に気軽に寄れる、少しでも自分の為の時間がつくれる。美術を通して同じ悩みを共有できる、そんな場でもありたいと思うのです。ぜひ赤ちゃん連れでも立ち寄ってみて下さい。

 美術の豊かさを伝える事で、少しでも皆さんの生活に彩りをプラスし、日々の生活をより豊かにする。そのようなお手伝いが出来れば嬉しいです。小さなアトリエではありますが、夢は大きく。絆が広く繋がるように。そんな憩いの場に出来れば幸いです。

2022/7/16